お知らせ

 独立行政法人労働者健康安全機構は、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでいます。「労災疾病等医学研究普及サイト」では、これまで実施してきた研究成果について掲載しています。今回は、下記研究成果のご紹介です。

○「運動器外傷機能再建」について
 脊髄を損傷すると車椅子生活になってしまうことも…
現在日本には10万人以上の脊髄損傷者がいて、毎年5、000人以上が新たに脊髄損傷を負っています。事故による脊髄損傷の原因TOPは「交通事故」であり、ついで「高所からの落下」、「転倒」、「打撲・下敷き」、「スポーツ」と続きます。この研究の背景には、こうした脊椎損傷をはじめとする運動器外傷患者の早期社会復帰支援や両立支援が社会的な課題であることが挙げられます。
 http://www.research.johas.go.jp/undouki2018/
 現在、運動器外傷の患者さんの、骨折部位、骨折型、治療法などの情報と復職など受傷後の経過に関する情報を1000件以上収集しています。これらを分析し、患者のQOL、復職に関わる要因を明らかにしていきます。治療と仕事の両立支援につながる運動器外傷に関する大規模研究はこれまでにないことから,貴重な提言につながると考えます。

○「早期復職」について
 現在、がんはわが国における死因のトップであり、2~3人に1人は生涯の間にがんと診断されます。さらに、がんになった後も仕事を続ける勤労者は増えることが予想されています。
 がん患者さんが復職するために最も重要なのが体力の維持・増進とされ、そのために効果が高いのが「運動療法」と「食事療法」と考えられています。
 本研究では、運動療法と食事療法、特に最適な蛋白質摂取を一定期間続け、その前後から復職するまでの期間、血液検査や体力測定等を行い、患者さんの復職状況を調査します。
 http://www.research.johas.go.jp/souki2018/ 
 復職を目指すがん患者さんに対して最適な蛋白質摂取と運動療法によって筋力や持久力が効率的に改善できれば、患者さんの早期復職、勤労者のキャリア維持、職業生活の維持に大きく寄与できると考えています。